西岳 2053m・本院岳 2030m・八方睨 1900m 戸隠錬峰

2007年9月2日   息子&友達と  

自宅発(5:30)〜奥社駐車場〜鏡池登山口(6:40)〜牧草地(8:00)〜熊の遊び場(9:30)〜無念の峰(10:05)〜蟻の塔渡り〜西岳山頂(11:18)〜本院岳〜八方睨(14:00)〜奥社(16:00)〜奥社駐車場(16:54)(10時間15分休憩含む)

私の持っている「信州百名山」ガイドブックより
西岳の北に連なる戸隠山(表山)を小さな鋸歯の岩山とすれば、西岳はまさしく乱杭歯の岩山である。戸隠錬峰は裏山(五地蔵山、高妻山、乙妻山)、表山、西岳の三つに分類されるが、最難関の塊が西岳である。
・・・・・・戸隠錬峰の中でももっとも幽玄で鬼気迫り、登山者がもっとも少なく最難間コースなのが西岳である。

子供の頃から飯綱山同様見慣れていた山ではあるが、まさかそこに立てる日が我が人生に来ようとは思ってもいなかった。
それは、槍の山頂に立った時よりドキドキだった。

写真は岩場でのものがほとんどです。(岩場での待ち時間を利用)
登山道は危険箇所には、鎖等がありますが、点線コースゆえ、最低限の整備といった印象。
草も刈っていないので、薮こぎ状態。(一部だけ笹を刈ってあり)草が登山道を隠すので、崖を下に見ながらのトラバース道はかなり危険。そして、笹の根を掴みながらの急登が多かったですよ。
濡れた笹を掴むため、手袋を絞る程の濡れようでした。
ロングコース&ハードコース&人がいないので単独は非常に危険な山ですね。

6:40
長野から暗い雲に向かって車を走らせ、(なんかいやな予感を感じつつ)奥社に車を1台置き、鏡池近くの登山道入り口にやってきた。
人の通った気配より獣(熊?)の通った気配を濃厚に感じながら草で覆われた登山道を薮こぎ状態で歩く。
途中川を何度か渡るが、相棒はこの川は雨が降るとすぐ増水するからと、沢用の靴を念のために、ザックに入れて来た。
増水こそしていなかったが渡れそうな箇所なしです。
手頃な石を川に放り込み何とか足場を作ってくれた。
感謝、感謝。
沢沿いの道ももちろん草で覆われている。。。
登山道を見失い(消えていた!)、のっけからほんまかいな斜面を登っちゃえ状態の薮こぎが始まった。
本当の薮の中を彼の土地勘を頼りに歩き、ようやく牧草地に躍り出た。
息子は、最近熊に襲われた人の話に、ビビリモード満開。
そしてまさかまさかの、薮こぎに熊の恐さもぶっ飛んだ模様。
かなり体力を消耗したようだ。。。。
霧雨だ。全く景色が見えない!
先行きが不安なのよね、岩場が濡れてやばそうじゃん。。。
そんな思いとは裏腹な 素敵な白樺の中をまるで散歩に来たのね私たち的ゆったり、まったり登山道を歩き始める。。。
舞茸の大きいのにぶつかれば、1万円は下らないらしい・・・。
そんな贅沢でなくてもいいから、ラーメンにキノコを入れたら、うまいだろうな・・・と欲深ばあさんになってついキョロキョロ・・・・あっりませ〜んでしたね姿かたちも。
あったのはサルノコシカケ。
これも貴重品ではあるが(癌に効く?)良いのは白樺に生えているのなんだそうですよ。
ただのサルノコシカケじゃあだめなんてしらなんだよ。

さあ岩場が始まったぞ!
キノコのことなんてぶっ飛んじゃったぞ!
慎重に、よく見て行くんだぞ!と気合を入れモードを切り替える私。
へ?
私の足届かんぞ!
日頃仕事で鍛えた腕力の出番なのね
岩は思っていたよりしっかりしていた。
(戸隠の岩は脆いという先入観があったもんで)
ぐらつかないか確認しながら、ワッシと掴み鎖に助けられながら這いずり登る。
足場になる岩もあるので思ったより楽だったよ。
一つ岩を乗り越えると、、、、続きがあったのね。
濡れているぞ!
慎重にすばやく通過だね
まだまだ序の口?
この鎖は長かった、腕が疲れる。
登り上げると、草むらにストックが落ちていた。
伸縮タイプではなくスキーのストックみたいだったから、きっとストックを捨てて命を取ったのね、な感じ。
ってことはきっと逆コースでここを下ったんだ。。
逆コースはきつそう。。。
こんな崖沿いのトラバースが一番神経を使う。
草で、どこまで安全かわからんぞ、一足、一足慎重に。。。
岩場→笹&草の薮こぎの急斜面(笹の根を掴んで登るのよ)→岩場の連続ですね。

無念の峰で休憩

ブヨがすごい!
息子の頭にブヨの後光が射している。
虫除けスプレーをしているから刺されることはないけれど、目の中、口の中にも入ってきそうな大群だ。
歩いていると大丈夫だが、止まるとまとわりつく!おちおち休んでもいられないよ。
最初の難関がやってきた。
ここの鎖がかなり古く恐かったというので相棒はロープを持ってきくれていたが、鎖は新しくなっていた♪

垂直の岩を鎖を頼りに降り、横にあるはしごに取り付くのが大変なのよね。
そこをどう降りてよいかわからず迷っている息子に足場の指示を出す相棒。
なんとか無事降り、歩き出したとたん
相棒の大きな声に、
まさか死体?とゾッとした。

草むらの中に黄色い帽子が落ちていただけなのに。
まあ、思わずそんなことを連想してしまいたくなるようなところなのよね・・・・。

それはガスの中に突然飛び込んできた!
しかもその上を一人の男が這い蹲りながらやって来る。
ものすごい光景だった。(写真には写ってないけれど)
ゲッ!

と思ったのは息子も同じだっただろう。

鎖場ゆえ、私が通過するまで待機してもらい、交代で男性に登ってもらう。
それまで息子には上で待っていてもらう。ってのは、この蟻の塔渡り以前での箇所でのことなんでありますよ。
5時に反対コースをスタートしたと言う単独者も、人に出会えなぜかホッとした様子。
でも彼のレインウェアがドロドロに汚れているのが気になる私。
フ〜ム、この先もまだまだ険しいのね。
さて、我々も挑戦だ!

もちろん這いつくばって進んだけれど、恐怖感は意外にも余り感じなかった。(ガスのおかげ?)
というより、渡ることに集中していて、感じる暇もなかったのかもね。
掴むところもしっかりあったし、慎重にいけば、問題なしだった。
間違えば怪我ではなく、死がそこには待っている。
振り返ると、息子は緊張のあまりか、余裕なのか、笑っていた。。。
ありえね〜!

わかる,わかる。
まだあるんかよ!
な鎖場が次から次へと現われ、退屈する間もありゃしない・・・。
絶壁の際のここも垂直に近い感じで、岩の割れ目に足をかけ、最後は木の根をグイと掴み登りきる。
でも、ここを下るのはこわそ〜。

11:18
4時間40分かけようやくたどり着いた山頂は草や低木に覆われていて、今までの鬼気迫る岩場の雰囲気からは想像できないほど素っ気がなかった。
本院岳も標識がなかったので、多分ここがそうかな、それとももっと先だろうか、という認識で通り過ぎてしまったようよ。
こんな長い、長い鎖場を何とかクリア。
と、登山者が一人、下で息を切らして休んでいた!
こんな時間にこれから?
話の感じからすると、どうやら牧場に下りる道と間違え、反対の西岳に向かっちゃったようだ。
しかも、軽装で、半袖Tシャツに小奇麗なパンツのおじさんだ。
どう見ても山慣れしている人には見えない。
相棒が、こっちのコースは下るのには危険すぎるし、まだ5時間以上はかかるから引き換えしたほうが良いですよ、と説得するも、おっちゃんは
「引き返すって行ってもね・・・。奥さんも来たんでしょ。。なんたらかんたら。。。」

女をなめたらあかんぜよ!
あの船窪だってテント担いで歩いていたのは女だったぜよ!
裏銀をテント担いで走って下っていたのも女だったぜよ!
(ザックがユッサユッサ揺れていたのが印象的だったなぁ)

息まいた!(心の中で・・・トホホ)
13:00
思案に暮れているおっちゃんと別れ、ちょっと遅いがランチタイム。
定番のラーメン&おにぎりの他に今日はなんとホルモンと大根の味噌煮を秘密兵器として持ってきたのよね。
もちろんネギは欠かせません。
ピリッと辛いホルモンをフーフーいいながら食べるのはまた格別でして、男供には大好評でした♪
フーフーいっている内に、ガスが動き出し、展望が開けてきた。
遥か下方に鏡池が光っている。
一瞬青空も見えたんだけどな。。。。
14:00
急斜面をワッセッワッセと登り上げ、ようやっと着いた八方睨みも濃いガスの中だった。
これじゃ、睨めんのよね。
昨夜4時まで飲んでいたという息子は、もうバテバテ、足もヤバメなレロレロ状態のようだ。
1.5Lの水をほとんど飲み干したようだ。
若さを過信しちゃいけないぜ。
と言いつつ、先はまだまだ険しいので、大休止。
こんな大きな標識があるのに、なんであのおっちゃんは道を間違えたんだろう。。。。
戻って来ないところを見ると、先に進んだんだろう・・・。
無事岩場を通過したとしても、あの沢で迷わなければ良いが・・・暗くなってからのあの沢はマジやばいよ
と、人の事を気にしている場合じゃあない、下りもまだまだ厳しいんである
ここは戸隠山の蟻の塔渡り
さっきのより細いぞ。。。
息子は
何で下に行けるところがあるのに、わざわざ上を行くわけ?信じられんよ。
と言いつつさっさと下を通過。
かなり前、ソロで来たときに、またがってみたものの、先に進むことが出来ず、下を通過した私。
今回はどうしても上を行きたかったのよね。
相棒の指示に従い、慎重に進む。
もちろん四つん這いよ。
おしりを上げることすら出来なかったわ。たぶん登りに使うには良いかもだけど、下りは、上半身だけが、前のめりになり気が抜けない。
垂直に下り、トラバースし、また下るといういやらしい岩場だ。
完全に鎖を頼り、体を岩から離し、足場を確認しながら下る。
        岩が濡れていて、滑るのでかなり慎重に下る。
パンツは泥だらけ状態・・・
(帰ってからの洗濯が大変だなぁ、と変な事を考えながら、見守る私でした)
この鎖場の下りは長かったな。
でも、西岳と比べると、しっかり足場も作ってあるので楽でした。
まっ戸隠山は登山者多いからな・・・・。
ちょっと寄り道ですよ
登山道の脇に10mほどの崖があり、上に祠がある模様。
こりゃ行くっきゃないでしょ!
ロッククライミング気分だ。
祠は意外にも大きく、4人くらいは入れそう。
中には苔むした仏像が安置されていた。
いったいどうやって担ぎ上げたんだろうか。。
祠の横の岩の上にサボテンのような肉厚な植物がたくさんあった。
良く見る感じもするけれど,なんていう名前?
全くいい年こいて、何やってんだか!
付き合ってられねえよ!
とばかりに息子は下で、ゆったりと休んでいましたよ。
百軒長屋
信州山遊びネットの立木さんの情報じゃあこの辺りに光苔があるそうだが。。。。
16:00
ようやく奥社に到着。
おいしい水を飲み、息子は顔を洗い生き返ったよう。
戸隠山のルート案内の標識
奥社から見上げる稜線もこれまた険しそうで、迫ってくるような圧倒感だ
40分ほど、観光客に混じって杉を見上げながら、テクテク下る。
息子は足の筋が痛いと、辛そう。。。
私もこんなにも凝縮された山は初めてだった。
相棒はザイル等を用意して、かなり気を使い疲れたことだろう。
実際彼のリードがなかったら、無事下山できたかどうかわからない。
ありがとう♪(と、ここは謙虚な私)
三者三様に無事下山にホッとしていた。

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